祈り
祈ります
ただ 祈ります
それしかできません
祈ります
ただ 祈ります
それしかできません
大気の呼吸がきこえるような
山の あさ
鳥たちが身震いし
獣たちが葉を踏み
虫たちが目を細め
蛇たちが朝露を舐め
木々の色が滲んでいるような
冷たい空気の中
人々はさりげなく
そして注意深く
あさの中に足を踏み出す
今日をまた 生きるために
静かに冬に 耐えるために
夜の虫が一匹 僕の膝にとまる
静かにゆっくりと 首を横に動かし
僕のおなかと部屋の隅を交互に見ている
その複眼は万華鏡のように
僕には見えない世界をうつしだしているだろう
静かな時間が過ぎて
僕は虫を叩き潰した
新しい朝 誰かの吐息
僕の匂い 夜の名残
夢のあと 今日の気配
花の青さ 雀のさえずり
小石の音 雲の傘
力こぶの色 爪の先
始まる一日 終わる一日
もうすぐ落ちる
何に落ちる
人生の落とし穴に
もがいてももがいても
光すら見えない深い穴
お腹をさすって膝をさする
土をかいて匂いを嗅ぐ
そうやっていつか
穴の底の生活に馴染んでいく
眠ることもできずに
薄い闇を見つめ続ける
明けることのない夜
生きている意味もわからない
いや
そんなものきっと無いのだ
何も生み出さず
誰の力にもならず
自己満足もなく
どこで道を終えても
ここで道を終えても
同じなのだ と思う
薄い闇が
僕にまつわりついている
敵は目の前にいる
撃て!
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